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宇多川仁の「環境の現場から 〜企業編〜」

  環境法、なぜわかりづらいのか?

 おかげさまで、環境部ドットコムが送るアスベスト特集が多くの読者の方々からたいへんわかりやすいと好評をいただいている。

 そのような中で何名もの方から次のような疑問をいただいた。「各自治体が独自にアスベスト規制に乗り出し、国の大気汚染防止法では規制対象となっていない規模の建築物を解体することまで新たに規制を加えようとしていることはよくわかった。でも、国でも規模要件を撤廃しようとしているのですよね? 国の法令で規模要件が撤廃された場合は、条例は無くなるのですか? あるいは国の法律と自治体の条例の二重の規制となるのですか?」。
 実は、似たような話は企業の環境担当の方々との話の中でもよく出てくる。「条例に国の規制と同じ規制が書かれているが、これは意味があるのか?」などという疑問だ。

 環境法の規制内容について、企業の担当者がきちんと把握しようと、国の法令と自治体の条例を追えば追うほど、それぞれに類似の規定が多く、訳がわからなくなるようだ。しかし、これは担当者の責任ではなく、主に自治体に問題があると私は思う。
 自治体の条例の規制内容が国の法令の規制内容とまったく同じであれば、条例の意味がないはずであるが、現実の条例にはこうした規制が結構目につく。制定当時は国の規制が無く、意味があったのかもしれないが、現在国が同じ規制を行っているのであれば、条例の該当箇所を削除するなどの対応が必要なはずである。

 言うまでも無く、日本で環境法を発展させてきたのは自治体だ。「公害」という地域で生じた問題に直面し、国の対応が遅れている中で、自治体は積極的にそれに対応し、公害防止条例などを制定してきた。こうした自治体の動きに押されて、国の環境法は徐々に整備されてきたわけであり、その意義は大きい。
 ただ、最近の条例動向を見ていると、どうもそうした意義が見出せないものが多いような気がしてならないし、現在施行中の条例には意味をもたないと思わざるをえない規定が少なからずある(ついでに言うと、最近制定される条例には「責務規定」ばかりが目立つが、これもどこまで意味のあることなのだろうか?)。

 アスベスト規制については、いくつかの自治体の条例では、国の大気汚染防止法が改正になれば見直しを行うことを明文化している。「わかりやすい環境法」をめざして、ぜひ、その際はきちんと対応してほしいものだ。せっかく、良識のある企業の、良識のある担当者がきちんと規制遵守に向けて学習し、対応しようとしているのだから。

 環境法の「わかりにくさ」は、ここで述べたこと以外にも、いくつかの特徴(?)がある。本コーナーで追って述べていこう。読者の方の中で、環境法に疑問のある方は、お気軽に下記メールアドレスまでご一報ください。
2006.1.5

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