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今年の夏、工場へ行く機会がいくつかあった。
久しぶりに工場を訪問してみると、緑地の広さに改めて驚く。はじめて工場を訪問したときもそうだった。門を通りすぎてから目的の建物まで車で数分から数十分。車窓には延々と続く緑。しかも、奥深くまで緑となっている。反対側の工場を見ずに、緑だけを見ていると、ここはいったいどこなのかわからなくなってしまうほどだ。
ただ、その緑もよく見てみると、スダジイなど常緑樹が中心で、種類も乏しく、単調な緑となっている。里山のような二次林とはまったく異なる緑だ。さらに、地域の他の生態系とのつながりが乏しい。
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私は、こうした緑を見るときにいつも思うのだが、これはまことにもったいない。
生物多様性の観点からこの緑を捉えなおしてみよう。この広大な緑の区域が地域にとっていかに重要なことか。ここがかりに地域の生態系とつながれば、たくさんの生物が集う場となるであろうし、地域の人々にとってもかけがえのない場となる。企業にとってもステークホルダーとつき合う良い場となるのではないだろうか(なお、潜在的な自然植生としては、工場緑地で見られる常緑樹のほうが「地域の自然」であるとするご意見もあろうかとは思うが、とりあえずその議論はここでは省く)。
ようやく最近、これら緑を「地域の自然」と位置づけ直し、大手企業の一部ではビオトープをつくったり、あるいは関西では希少種の保護区をつくったりする動きも出てきた。さらなる発展を期待したい。
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ところで、こうした工場の緑は、「工場立地法」という法律によって義務づけられている。 一定規模以上の工場に対して、生産施設を敷地の一定割合に制限するとともに、敷地内に一定割合以上の緑地等を設けることを義務づけているのだ。敷地内の緑地の比率については、「工場立地に関する準則」によって20%と定められているものの、一方で都道府県等の条例により、±10%の増減がある。つまり、自治体によって異なる。自治体によっては、この比率の増減に加えて、植樹の内容についても規制している場合がある。
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最近、千葉県の市原市と袖ケ浦市が県に対して、海岸沿いの工場地帯における緑地の比率を現行の20%から10%へ引き下げるよう要望したという。私がおもしろいと思ったのは、両市が、比率引き下げの代案として、内陸の里山などの緑化を企業が負担することを掲げたというのだ。
この要望そのものは他の工業地帯でも緑地の比率を引き下げており、競争力維持のために必要とういうことが目的のようであり、「環境」の観点からは留意が必要であろうが、単なる緑色した緑だけではない空間を地域にどのようにつくりあげるかを考える意味ではたいへん示唆に富む話だと思う。
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