▼趣旨
アスベスト(石綿)は、熱に強く、摩擦に強く切れにくい、酸やアルカリにも強いという特性から、鉄骨構造建築物などの軽量耐熱被覆材として昭和40年代の高度成長期に多く使われていました。
近年、過去に製造工場等でアスベストを取り扱った労働者を中心に肺がん、中皮腫の発症など、深刻な健康被害が認められています。
また、大気環境経由での暴露が原因と疑われる住民被害も問題となっています。
アスベストは、これまで約1,000万トンが輸入され、その90%以上が建材として使用されていました。
今後、アスベスト使用建築物の解体、修繕が増加することが確実であり、新たなアスベスト被害の発生を予防するため、県では、アスベストの飛散を防止し、県民の健康の保護及び生活環境の保全を図るため、条例を制定するものです。
▼条例の概要
◇総則
1 目的
アスベストによる健康被害を防止するため、必要な措置を定め、県民の健康の保護と生活環境の保全に資することを目的とします。
2 定義
この条例では、
(1)「吹付けアスベスト等」とは、「吹付けアスベスト及びアスベストを含有する飛散性の高い保温材等」で規則で定めるものと規定します。
保温材等とは、保温材、断熱材、耐火被覆材など想定しており、成形板等の非飛散性アスベスト含有建材は除きます。
(2)「アスベスト排出等作業」を「吹付けアスベスト等が使用されている建築物を解体する作業」及び「吹付けアスベスト等が使用されている建築物を改造、補修する作業で、対象部分に吹付けアスベスト等が使用されているもの」と規定します。
(3)「アスベスト廃棄物」とは、「アスベスト排出等作業で排出される吹付けアスベスト等」と規定します。
3 県の責務
(1)県は、アスベストによる健康被害を防止するため、次の施策(被害防止施策)を実施するものと規定します。
ア 大気調査の実施、結果の公表
イ アスベストに関する相談窓口の設置、アスベストに関する情報の提供
ウ その他必要な措置
(2)県は、市町村と連携して被害防止施策を実施するものと規定します。
4 事業者の責務
(1)事業者は、アスベストの飛散防止に必要な措置を講ずることを規定します。
(2)アスベスト排出等作業、アスベスト廃棄物の処分を行う事業者は、大気調査の実施に努めることを規定します。
(3)事業者は、県が実施する被害防止施策への協力に努めることを規定します。
5 県民の役割
県民は、アスベストの特性に関する理解を深め、県が実施する被害防止施策への協力に努めることを規定します。
◇建築物に関するアスベスト排出防止措置
1 建築物の管理
建築物の所有者等は、吹付けアスベスト等の状況を把握し、アスベストの飛散防止に必要な措置を講ずることを規定します。
2 勧告
知事は、アスベストの飛散等により県民の健康被害の発生のおそれがあるときは、所有者等に対し、飛散防止措置を講ずることを勧告できることを規定します。
3 公表
知事は、所有者等に対し勧告をしたときは、当該建築物に使用されている吹付けアスベスト等の飛散等により県民の健康被害を生じさせ、又はそのおそれがある旨を公表できることを規定します。
◇アスベスト排出等作業及びアスベスト廃棄物の処理に関する規制等
1 作業基準
アスベスト排出等作業を行う施工業者が遵守すべき作業基準を定めることを規定します。
・解体作業の場合:作業場の隔離、集じん・排気装置の設置、薬液による湿潤化、除去後の飛散防止措置
・改造、補修の場合:囲い込み、封じ込め
・予め除去が困難な解体作業の場合:散水又は同等の措置
2 アスベスト排出等作業の実施の届出
施工業者は、アスベスト排出等作業の開始日の14日前までに、知事に届出することを規定します。なお、災害等により緊急に作業が必要な場合は、届出期限を緩和することを規定します。
・大気汚染防止法届出規模未満の建築物
・耐火、準耐火建築物以外も含む全ての建築物が対象
3 計画変更命令等
知事は、届出のあったアスベスト排出等作業が作業基準に適合しないときは、届出を受理した日から14日以内に作業計画の変更命令ができることを規定します。
4 作業基準の遵守義務
アスベスト排出等作業を行う施工業者は、作業基準を遵守することを規定します。
5 作業基準適合命令等
知事は、施工業者が作業基準を遵守していないときは、作業基準に従うこと又は作業を一時停止することを命令できることを規定します。
6 公表
(1)計画変更命令に従わないときは、作業基準に適合しない作業が行われるおそれがある旨を公表できることを規定します。
(2)作業基準適合命令をしたときは、作業基準に適合しない作業が行われている旨を公表できることを規定します。
7 周辺住民への周知
施工業者は、工事の施工場所に工事内容を表示するほか、周辺住民に対する工事内容の周知に努めることを規定します。
8 廃棄物処理計画等の届出
(1)アスベスト排出等作業を行う施工業者は、アスベスト廃棄物の処理の方法等を知事に届け出るとともに注文者に報告することを規定します。
(2)施工業者は、アスベスト廃棄物の処理が完了したときは、知事に届け出るとともに注文者に報告することを規定します。
9 注文者等の配慮
(1)アスベスト排出等作業を伴う工事の注文者は、施工業者に対し、吹付けアスベスト等の使用状況に関する情報の提供に努めるとともに、施工方法、費用、工期等について、作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮すること
を規定します。
(2)注文者は、施工業者に対し、アスベスト廃棄物の処理方法、費用等について、適正処理を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮することを規定します。
(3)施工業者は、アスベスト廃棄物の処理を委託する場合は、受託者に対し、アスベスト廃棄物の処理方法、費用等について、適正処理を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮することを規定します。
10 特定工事施工業者名簿
県民に対し、アスベスト排出等作業の施工業者について情報提供するため、施工業者の名簿を作成し、公表することを規定します。
◇雑則
1 報告の徴収
条例の施行に必要な限度において、関係者に対し報告を求めることができることを規定します。
2 立入検査
条例の施行に必要な限度において、関係場所への立入検査及び検査のための試料を収去ができることを規定します。
3 適用除外
大気汚染防止法に基づく特定粉じん排出等作業に該当するアスベスト排出等作業に係る規定には、条例を適用しないことを規定します。
4 規則への委任
条例の施行に関し必要な事項は規則で定めるように規定します。
◇罰則
命令や届出義務に違反した者、立入検査を拒否した者等に対する罰則を規定します。 |
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